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2025年 健保の展望

ー迫りくる財政危機を回避せよー

深刻な現役世代の負担増
新政権に不安の払拭を期待する

監修国際医療福祉大学名誉教授 水巻 中正

※掲載内容については、2024年10月18日現在の情報に基づき構成しています。

歯止めの利かぬ少子高齢化
約5割の健保組合が財政難に

少子高齢化の進展に伴い、健康保険組合を取り巻く環境はますます厳しさを増しています。厚生労働省の発表によれば、総人口は減少の一途をたどるなか、2025年には75歳以上の人口が全人口の約18%、2040年には65歳以上の人口が全人口の約35%に達すると予測されています。これにより、高齢者医療への納
付金が増加するとともに、現役世代が負担する保険料もまた増加することが見込まれ、健保財政の悪化が懸念されています。

健康保険組合連合会(健保連)の「令和5年度健康保険組合決算見込(概要)について―5年度決算見込と今後の財政見通しについて―」によると、令和5年度の被保険者数は約1,674万人となり、保険料収入は前年度比2.7%増の8兆7,184億円となりました。健保財政への好影響が期待されたものの、経常収支差引額は1,367億円の大幅な赤字を計上し、全体の5割以上が赤字組合となるとされています。主な要因として、団塊の世代が75歳に達する「2025年問題」に伴う高齢者医療への納付金の急増が挙げられます。納付金は同比7.3%増の3兆6,526億円に526億円に達し、今後も増加が予想されています。また、いまだに蔓延する新型コロナウイルスに伴う医療費の増加もあって、保険給付費は同比5.3%増の4兆7,301億円と高水準で推移しており、今後を楽観できる状況ではありません。

新政権に期待したい
全世代型社会保障の再構築

日本経済がデフレからの完全脱却をめざし、政府から発表された「経済財政運営と改革の基本方針2024」(骨太方針2024)では、物価上昇を上回る持続的な賃上げが中心的な目標として掲げられており、それによる保険料収入の増加は健保組合にとっても好ましいものであるといえます。一方で、医療現場ではより良質な医療やケアを受けられるよう、保健・医療・介護に関する業務やシステムの改善・向上(医療DX/デジタル・トランスフォーメーション)が各分野で図られていますが、2025年を迎え、その推進はいまだ道半ばという側面も指摘されています。

健保組合の財政が依然として赤字基調にあるなか、政府には全世代型社会保障制度の構築を早急に実現することが求められています。今後の新政権が打ち出す改革策に、期待が寄せられます。

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