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食に走る人は要注意!
「ストレス」と「肥満」の関係

環境の変化は、大なり小なり精神的ストレスとなります。ストレス解消法にはさまざまありますが、食で解消しがちな人は要注意。「ストレスを感じたら食べる」ことが習慣化してしまい、食欲をコントロールできなくなるだけでなく、肥満やメタボリックシンドロームのリスクを上げてしまいます。ストレスは、食事以外で解消するのがベターです。

ストレスホルモン「コルチゾール」

ストレスがかかると、副腎皮質からストレスホルモンと呼ばれる「コルチゾール」が急激に分泌されます。コルチゾールは、身体を動かす生命維持に欠かせないホルモンの1つで、血糖値を上げる働きがあります。
しかし、精神的ストレスで増えているだけなので身体を動かすことにはつながらず、血液中の糖の使い道はありません。増えた血糖は、肥満ホルモンとも呼ばれる「インスリン」の働きによって、糖や脂肪として体内にためこまれてしまいます。
また、コルチゾールは食欲を抑制する神経伝達物質「セロトニン」の分泌を抑制します。セロトニンは精神の安定に寄与しているため、食欲の歯止めがきかずに食べてしまうわけです。

食欲に影響するその他のホルモン

【レプチン】
食欲を抑制するホルモンで、食後に分泌されることで満腹を感じるようになります。脂肪細胞(=体脂肪)が多いほど分泌されるため抗肥満効果がありますが、残念ながらすでに肥満の人では効きにくくなります(レプチン抵抗性)。
【グレリン】
空腹感を刺激する、胃から分泌されるホルモンです。レプチンと対になるように働き、食後は分泌が抑えられます。睡眠不足になると、グレリンの分泌が増加し、レプチンの分泌が減少するため、食べすぎにつながりやすくなります。

エモーショナル・イーティング(感情的摂食)

イライラしているとき、落ち込んでいるときに食べたら落ち着いた…こんな経験はありませんか? ネガティブな感情を食事で満たすことを「エモーショナル・イーティング(感情的摂食)」といいます。
ジャンクフードや甘いものなどが選ばれやすく、繰り返すことでコントロールできなくなるため、肥満につながりやすくなります。お腹いっぱいなのに食べたくなる、食べたことをよく覚えていない場合は注意が必要です。

~この他、こんな行動にもご注意!~

  • 食事と食事の間の時間を空けられないのは、ストレスがたまっている証拠です。

  • アルコールはコルチゾールを分泌させます。お酒でストレス解消はできません。

  • 睡眠不足はストレス解消の機会をふいにし、食欲を増進させます。

  • 活動的に動けばストレス解消につながりますが、何もしないとストレスもそのままです。

ストレスは避けられない
食事以外&早めの解消がコツ

社会生活を営む以上、ストレスと無縁の生活をするのは不可能です。たまに食べすぎるくらいであれば問題ありませんが、ストレス食いが習慣になってしまうと、いずれは肥満、メタボリックシンドロームにつながります。
摂取エネルギーが過多にならないように食事以外でストレスを解消すること、ストレスがたまりすぎて衝動が強くならないうちに早めに解消することが重要です。

  • 睡眠時間の確保

    睡眠不足自体が慢性的なストレスとなり、コルチゾール分泌の原因になります。
    ふだんの生活のなかでもコルチゾールは分泌されていて、朝に多くなることで快適な目覚めに、就寝時に少なくなることで熟睡につながっています。このため、就寝時にコルチゾールが多い状態だと、熟睡できません。
    日中眠気を感じない程度の睡眠時間は、最低限確保するようにしましょう。

  • 適度な運動

    運動するとコルチゾールが分泌され、運動をやめると減少します。これを続けると、ストレスがかかった際のコルチゾール分泌量を抑えることができます。
    ハードな運動、長時間の運動は必要ありません。30分程度のウオーキングや、寝る前のストレッチなど、無理のない運動を生活に取り入れましょう。

自分の食欲パターンを知る~記録のススメ~

どんなときに食べすぎてしまうのか、自分の食欲パターンを知ることは、肥満対策のヒントになります。食べたものと時間をメモしておく、食べる前にスマホで写真を撮っておくと、後で分析するのに役立つだけでなく、記録をするという行動自体も、食欲を抑えることに役立ちます。
食べすぎにつながりそうなシチュエーションを発見したら、そうならないように行動したり、食べること以外の代替案(散歩や読書、歯みがき、ストレッチなど)を持っておくようにします。それでも食べてしまうことのないよう、すぐ手に取ることのできる場所に食べものを置かないようにするのも重要です。
無意識の食欲をなるべく見える化して、工夫しながら対策していきましょう。

監修:順天堂大学医学部教授 小林 弘幸

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