Notice

〔骨太の方針2023〕
医療・介護の改革による歳出改善と、
保険料負担上昇の抑制が重要

政府は「経済財政運営と改革の基本方針2023 加速する新しい資本主義ー未来への投資の拡大と構造的賃上げの実現ー」(骨太方針2023)を閣議決定しました。医療・介護制度に関するポイントを紹介します。

骨太の方針とは、年末の予算編成に向けて、政権の重要政策の基本的な道筋を示すもので、毎年6月に閣議決定されます。骨太の方針2023では、社会保障制度について、今後も続く超高齢社会に備えた「持続可能な社会保障制度の構築」を柱に整理されました。
少子化対策を着実に推進し、現役世代の消費活性化による成長と分配の好循環を実現していくためには、医療・介護等の不断の改革によりワイズスペンディング(効果的・効率的な支出)を徹底することで歳出改善を行い、保険料負担の上昇を抑制することが極めて重要であるとしています。このため、すべての世代が負担能力に応じて公平に負担し支え合い、必要な社会保障サービスが適切に提供される全世代型社会保障の実現に向け、改革の工程※の具体化を進めていくとの方針が示されました。
また、最新の将来推計人口や働き方の変化等を踏まえ、給付・負担の新たな将来見通しを示すことが明記されました。

※「全世代型社会保障の構築に向けた取組について」(令和4年12月16日全世代型社会保障構築本部決定)に基づく給付と負担の在り方を含めた工程。

骨太の方針2023
主なポイント

  • 1.医療・介護サービスの提供体制等

    高齢化と人口減少に対応し、限りある医療資源の有効な活用と、質の高い医療・介護サービスの提供体制を確保するため、都道府県が地域の実情に応じて医療費適正化に取り組むとともに、かかりつけ医機能が発揮される制度整備の推進が図られます。また関係機関のさらなる対応によるリフィル処方の活用が推進されます。

  • 2.健康づくり・重症化予防の強化

    健康寿命を延伸し、高齢者の労働参加を拡大するためにも、健康づくり・重症化予防を強化し、デジタル技術を活用したヘルスケアイノベーションの推進や、第3期データヘルス計画を見据えたエビデンスに基づく保健事業の推進、生涯を通じた歯科健診(国民皆歯科健診)に向けた取組み等が推進されます。

  • 3.医療DXの推進

    マイナンバーカードによるオンライン資格確認の用途拡大や正確なデータ登録の取組みが推進され、2024年秋に健康保険証が廃止されます。電子処方箋や電子カルテ等の医療・介護全般にわたる情報を共有できる「全国医療情報プラットフォーム」の創設および電子カルテ情報の標準化等が進められるとともに、PHR※として本人が検査結果等を確認し、健康づくりに活用できる仕組みが整備されます。加えて「診療報酬改定DX」による医療機関のコスト軽減等が図られます。
    また、政府が運営するオンラインサービス・マイナポータルの利便性向上に加え、税務・社会保障手続きの負担軽減に向けた取組みを進め、デジタル技術の導入により社会保障給付の事務コストを効率化し、行政機関間の情報連携が推進されます。

    ※PHR(Personal Health Record)とは、診察・検査、特定健診、薬剤データ等の個人の健康に関する情報を集約し、本人が自由にアクセスできるシステム。

  • 4.介護保険料の抑制

    急速な高齢化が見込まれるなかで、医療機関の連携、ICT 機器導入や協働化・大規模化等を推進したうえで、介護保険料の上昇を抑えるため、利用者負担の一定以上所得の範囲の取扱いなどについて検討を行い年末までに結論を得るとしています。

  • 5.2024年度報酬同時改定

    2024年度に予定されている診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス等報酬の同時改定については、物価高騰・賃金上昇、経営の状況、人材確保の必要性、患者・利用者負担・保険料負担への影響等を踏まえ、必要なサービスを受けられるよう対応を行うとしました。

  • 6.短時間労働者への被用者保険の適用拡大による勤労者皆保険の実現

    年齢・性別にかかわらず働き方に中立的な社会保障制度の構築に向け、企業規模要件の撤廃等、短時間労働者への被用者保険の適用拡大、常時5人以上を使用する個人事業主の非適用業種の解消等について検討するとしました。当面の対応として、新たに106万円(いわゆる年収の壁)を超えても手取りの逆転を生じさせない取組みへの支援等を本年中に決定したうえで実行し、さらに制度見直しに取り組むとしています。

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